永遠の夕暮れ

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zoom RSS 「硫黄島からの手紙」見てきました。

<<   作成日時 : 2006/12/28 22:04   >>

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ちょっと、前なのですが、12/9の土曜日に、友達と「硫黄島からの手紙」を見てきました。
画像


残念ながら、第一部にあたる「父親たちの星条旗」の方をみていないので、偏った感想になってしまうかも知れませんが。

映画で省略されている部分も多いので、「大日本帝国の興亡 ジョン・トーランド著」から、引用しながら進めたいと思います。

【前書き】
海外領土最後の地:サイパンが陥落し、日本は、ついに初めて自国の領土で敵と地上戦を行うことになる。
”硫黄島”は、小笠原諸島で唯一、飛行場を持つしまであり、同時に、マリアナ諸島との中間地点に位置する。
そして、日本にとってもう一つ恐ろしい意味がある。
サイパン陥落により、マリアナ諸島を基地とする”B29”は、すでに日本をその行動圏内に納めてしまった。
が、高高度を高速で飛行する空の超要塞B29とはいえ、護衛の戦闘機がついていない。
強力な防御力はあるものの、日本軍の迎撃機を積極的に襲うことはしない。
しかし、硫黄島が堕ちれば、日本本土が米の傑作戦闘機P−51ムスタングの行動圏内に入るのだ。
この時、すでに日本軍戦闘機は、米戦闘機に圧倒的な性能差をつけられ、零戦とて、唯一得意な旋回性能で逃げ回るのが精一杯といった所であり、もし、その時は、日本は”B29”に対してほぼ無抵抗になる・・・

【本文】
さて、映画は、”硫黄島守備隊総指揮官 栗林忠道中将(渡辺 謙)”と、”一兵士である(すなわち、庶民代表である)西郷(二宮 和也”)の2つの視点で描かれる。
キャスティングで興味深いのは、男たちの大和」では人間的でリベラルな上官を演じた中村獅童が、今回は、ガチガチの軍隊思想に凝り固まった士官を演じているところであろうか。

物語は、海岸線に陣地を築く作業に不満を口走ったために、上官から体罰を受ける西郷を、着任早々の栗原中将が助けるところから始まる。
”兵士の大切さ”をきちんと理解した、旧日本軍らしからぬ好感の持てる人物像が、うまく描かれている。

栗林中将は、島を探索し、作戦を考えるのだが、周りからは変人扱いされる。
まぁ、実際、本来なら下士官レベルがやるべき仕事を中将がやっているのだから仕方が無い。

劇中では、陸軍と海軍の軋轢にはあまり触れられていないが、これも栗林を苦しめた。
劇中、海岸線に陣地を作る作業を、栗林がひょうひょうと現れて、いきなり中止を命じ、摺鉢山に地下要塞を掘り、持久戦を行うことを新たに命じる。
映画では、一言で終わらせているが、実際には、これまでのレイテ、グアム、サイパンの戦いで、海岸線のトーチカは何の役にも立たないまま、艦砲射撃で数分で撃滅されているという、経験の上での作戦である。
それでも、海軍からは、強い抗議を受けたが、堀江参謀長の助けでようやく海軍側を説き伏せている。

栗林の思いは、日本への空襲を、たとえ一日でも遅らせる。そのために、最後の最後まで硫黄島を死守することであった。
これは、家族に宛てた手紙でもあきらかである。

一日でも遅らせる・・・すなわち、いつかは力尽き、遅かれ早かれ本土が爆撃機の業火に襲われることを理解していたことを意味している。
結果の分かってる戦のために、地獄の戦場で将兵達の苦しみを長引かせた事は、果たして名将とよんで良かったのかどうか・・・連合艦隊が健在であれば、海と陸で挟撃する意味のある行為であったろうし、長引かせることで、より有利に和平を結べるのならば別である。
しかし、彼は、”一日でも長く戦う”こと、すなわち、日本本土の破局への時間を遅らせるだけで、言い換えれば、苦しみを長引かせるだけの行為にすぎないのではないか?と思ってしまう。

栗原着任の2週間後、51機の米空母機が飛来し、島の迎撃機66機を撃墜している。
もはや、日本軍機は米軍機の敵ではなかった。

また、上陸前、マリアナ諸島から発進したB24爆撃機により6週間に渡って爆撃を受けた。
加えて、戦艦6、重巡4、軽巡1、加えて多数の駆逐艦、護衛駆逐艦により、二万一千百二十六発の砲弾を撃ち込んだ。
もし、海岸線に、トーチカを配備していたら、瞬く間に殲滅されていただろう。
また、日本本土を攻撃した第58機動部隊は、工場を攻撃後、返す刀で硫黄島に襲来し、日本の防空戦闘機 撃墜351、地上撃破190の大戦果を上げた。

絶望的な戦力差、水も食料もなく、栗原の部屋でさえゴキブリが這い回る過酷な環境で日本兵は戦い続けた。
戦況は、栗原の思惑よりも早く悪化していった。
連絡の不備や、栗原の命令に従わずに、玉砕した兵士たち。

この状況下で、二宮和也演じる、元パン屋の一兵士が、いかにも庶民的で、生き残ろうとするところに共感を覚える。
いやぁ、二宮和也って、アイドル出とは思えない庶民キャラが良いですね。

一方、中村獅童演じる、ガチガチ思想の士官は、玉砕に加われず、人間地雷として、戦死した仲間の血を身体に塗り、屍に混じって敵戦車を待つが、戦車が訪れることはなく生き残る。
おそらく、最後には死への思いは消え去っていたのだろう。

閉鎖環境なので、時間の経過は映像から分からないが、徐々に日本軍は追い詰められ、降伏する。

劇中では、栗林はアメリカ留学中にプレゼントされた銃で自殺する。
実際には、三月二十七日早朝、北の方宮城にひざまずき、荘厳に三回最敬礼した後、軍刀で腹を突き上げた。同行した中根中佐が介錯し、遺体を地下に埋めた。

最後に、映画には、(当然だが)登場しないが、次の手紙を書いて締めくくりとしたい

硫黄島の戦いの最後、突撃を前にした、間瀬中佐が読み上げた”市丸提督からルーズベルト大統領に宛てた抗議文”である。
死を前にした人間の心からの思いがこめられている。

最初に、ルーズベルトが日本を「黄禍とか、血に飢えた国民とか、軍閥の原形質とか」と、ののしった事を非難し、会戦の責任はアメリカにあって日本にはないと主張したうえで、ルーズベルトに対して(決して届くことのない)怒りの言葉を叩きつけている。
「きみの行為から判断して、白人 − とくにきみらアングロサクソン − は有色人種の犠牲において世界の富を独占している。何故にきみらは、すでに繁栄した国家を持ちながら、極東の抑圧された民衆の自由を求める運動に対し、その芽をつもうとするのか、われわれがきみに要求するすべては、極東のものは極東に返せということだ」
つづいて、ルーズベルトがソ連と協力しながら、ヒトラーを非難する矛盾を痛烈に非難したうえで、「暴力のみが世界の統治者を決定するならば、戦争は永遠に続くであろう。そして全世界の平和や幸福は決して到来しないであろう。」と訴えたのである。


そして、その主張どおり、世界に平和は訪れていない・・・

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お薦め映画『硫黄島からの手紙』
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ひねもす ROKO BLOG
2007/01/07 21:52
映画DVD「硫黄島からの手紙」
2006年アメリカ 見ておもしろい。と言う作品ではないのでしょう。 戦争の悲惨さ、滑稽さ、無意味さが伝わってきます。 こんな闘いがあった事は知りませんでした。 ...続きを見る
映画DVDがそこにある。
2007/11/24 16:21

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
はじめまして。
先日TBさせていただいたrokoです。

>市丸提督からルーズベルト大統領に宛てた抗議文
市丸提督の講義文のことも大変重要ですね^^;
私は、スペースが無くて書き込みできませんした。
戦争は、人倫に悖る修羅の道です。
roko
2007/02/04 19:19
こんにちは、rokoさん。
戦争や外交は、様々な矛盾を含んでいて、何が正しいのか、と言うものは無いように思います。
日本には日本の、アメリカにはアメリカの思惑があり・・・
それにしても、過去も、今も、正義と人権を振り回しながら、ラテンアメリカで搾取を続けるアメリカの行為は納得できないものがあります。
安部義豊
2007/02/05 10:38

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